モーターヘッド伝説は終わらない!未発表音源集『The Manticore Tapes』特集!
メロイックサイン🤘をすると11に見える、ということで毎月11日は“ハードロック・ヘヴィメタルの日”!
今月は秘蔵音源がついに49年の時を経て発売される永遠なる我らの御大将motörheadを特集!
『The Manticore Tapes』の徹底解説に加え、モーターヘッド愛が強めに表現しているバンドもご紹介いたします!
(We Are) The head Crew…That's Right!
- 未発表音源集『The Manticore Tapes』徹底解説
- motörheadとは:バンドを語る3つのキーワード
- 影響力とカルチャー:Snaggletoothを身に纏う!オススメTシャツ
- 伝説を受け継ぎし者たち:モーターヘッ度高めのバンド大集合
未発表音源集『The Manticore Tapes』徹底解説
1976年8月、エマーソン・レイク・アンド・パーマーのメンバーによって設立されたレコーディング・スペースであるマンティコア・スタジオにおいて、motörheadの「Three Amigos」ラインナップ、Lemmy、Fast Eddie Clarke、Phil Taylorが初めてセッションを行った。その全11曲が収められた未発表音源集『The Manticore Tapes』が、バンド結成50周年にあたる2025年6月27日に発売される。これらの音源は長年行方不明だったが、長年の協力者Cameron Webbが修復・リマスタリングし、初公開に至った。
メタル史の金字塔の発掘
ロック史において最も象徴的で影響力のあるバンドの一つであるモーターヘッドの「失われた」音源が発掘されたことは、単なる新作の発表を超えHR/HMの歴史における極めて重要な考古学的発見と言える。『ザ・マンティコア・テープス』は、モーターヘッドの決定的なラインナップである「スリー・アミーゴス」レミー・キルミスター(ベース/ヴォーカル)“ファスト”・エディ・クラーク(ギター)フィル・“フィルシー・アニマル”・テイラー(ドラムス)による1976年8月の最初期のスタジオ録音を収録された歴史的作品がバンド結成50周年を記念し発売!
この作品は単なる既存曲のコンピレーションに留まらず、スピード、ボリューム、そしてアティテュードを何十年にもわたって定義することになるサウンドのまさに起源を垣間見せる作品だ。 これは単に音楽をリリースするだけでなく、歴史的な物語をキュレーションし、包括的なファン体験を提供するためのよく練られた取り組みを示しており、特に象徴的なフロントマンの不在下で、バンドの歴史的重要性がいかに際立ち、新しい世代にアクセス可能であり続けるかを証明するものとなるだろう。
「スリー・アミーゴス」の誕生
モーターヘッドの歴史は、レミー・キルミスターが1975年にホークウインドを脱退した後、激動の始まりを告げる。初期のラインナップはルーカス・フォックス(ドラムス)とラリー・ウォリス(ギター)で構成されていたが、レーベルが内容に「不満」を抱いたため、デビューアルバム『オン・パロール』は棚上げされるという苦難に直面。転機が訪れたのは1976年、ルーカス・フォックスに代わってフィル・“フィルシー・アニマル”・テイラーがドラムスに加わり、さらに“ファスト”・エディ・クラークがギターとして加入。ウォリスは、クラークの加入直後にバンドを脱退し、これによりファンからモーターヘッドのクラシックなラインナップとして認識されるパワートリオ、「スリー・アミーゴス」が確立した。
当時幻となってしまった初のアルバム『On Parole』(79年に発売)決して悪くはないのだが何かが足りない…
これらの歴史的なセッションの舞台となったのは、ロンドンにあるエマーソン・レイク&パーマーの伝説的なマンティコア・スタジオだった。セッションは主にリハーサルだったが、この新しいトリオが初めてスタジオでトラックを録音したという点で決定的な意味を持つ。当時のバンドの状態は非常に不安定で、『オン・パロール』の失敗後、彼らの将来は風前の灯だった。このセッションは、まさに「崩壊寸前のバンドが、ヘヴィメタルの不朽の地位へと這い上がろうとする」という、絶望的でありながらも反抗的な試みとなる。
『ザ・マンティコア・テープス』は、モーターヘッドにとっての極めて重要な「試練の時」を象徴している。それは単なるレコーディングセッションではなく、計り知れないプレッシャーの中で彼らのアイデンティティが鍛え上げられた瞬間であった。アイディンティティの確立に苦戦するプロジェクトから、伝説となる生々しくパワフルなトリオへと変貌を遂げたのだ!安定した新しいラインナップ、特定のレコーディング環境、そして存続の危機という要素の融合が、彼らの決定的なサウンドが結晶化したユニークな歴史的バンドが誕生した。
以前の拒絶されたサウンドと、セルフタイトルの1977年のデビュー作を特徴づけることになる生々しくパンク色の強いヘヴィメタルとの直接的な比較点のまさに「音のロゼッタストーン」ともよべる録音だろう。これにより、モーターヘッドのジャンルを定義するサウンドの正確な進化をたどることができ、ここに失われたピースが補完された。
収録曲一覧と各曲解説
1.Intro (Instrumental)
本音源集オリジナルのイントロ曲。3人のリハーサル風景と思われる短いインストゥルメンタルで、以降のアルバム冒頭を飾る。
2.Leavin’ Here
初出はオリジナル版アルバム『On Parole』だが、ここでは1976年録音のヴァージョンを収録。
3.Vibrator
初期のオリジナル曲。後に『On Parole』にも収録された。ヘヴィでキャッチーなリフが特徴。
4.Help Keep Us on the Road
motörhead初期の未発表曲。後に「Keep Us on the Road」として知られる曲の原形とみられる。ここでは「Help」を付けたタイトルで初披露。
5.The Watcher
LemmyがHawkwind時代に書いた曲のセルフカバー。motörhead版はLemmyの力強い歌唱と荒々しいサウンドでアレンジされている。
6.motörhead
Lemmy作曲の代表曲で、こちらもHawkwind時代の楽曲がベース。motörheadバージョンとしては1977年セルフタイトル・デビュー盤で発表された。
7.Witch Doctor (Instrumental)
John Mayallのブルースナンバー“I’m Your Witchdoctor”のカヴァーをインスト曲としてアレンジされている。
8.Iron Horse / Born to Lose (Instrumental)
後年『On Parole』にもヴォーカル付きバージョンが収録された。ここでは「インストゥルメンタル」として演奏。
9.Leavin’ Here (Alternate Take)
「Leavin’ Here」の別テイク。歌詞や演奏に微妙な違いがあり、セッションのバリエーションを楽しめる。
10.Vibrator (Alternate Take)
「Vibrator」の別テイク。こちらもリズムや歌唱に異なるニュアンスがあり、バンドの即興性がうかがえる。
11.The Watcher (Alternate Take)
「The Watcher」の別テイク。Lemmyの歌い方やギターソロが異なる。
国内盤はバーミンガム市庁舎でのライヴ音源がボーナストラックとして2曲収録。
12. motörhead (Live at Barbarella's Birmingham '77)
13. Keep Us on the Road (Live at Barbarella's Birmingham '77)
モーターヘッド『The Manticore Tapes』特集ページはコチラ
motörheadという存在
motörheadとは何者だったのか?ロックンロールの極北を駆け抜けた伝説のバンドの軌跡と美学を紹介
motörheadを語る3つのキーワード
1. Lemmyという伝説
シンガーであり、ベーシストであり、哲学者でもあったLemmy。長髪、髭とイボ、Jack Daniel’sその全てが“ロックの象徴”。
「うるさくて速けりゃ、それでいい」その姿勢が多くのミュージシャンに影響を与えた。
Lemmyの名言
“Born to lose, live to win.”(負けるために生まれても、勝つために生きる)
2. ジャンルを超えた音楽性
ヘヴィメタルの重さ、パンクの速さ、ロックンロールの泥臭さを内包しながら、唯一無二の音を貫いたmotörhead。Metallica、Guns N' Roses、Foo Fightersまで、様々なジャンルのアーティストが彼らを「ヒーロー」と称える理由がここにある。
3. アイコンとしての存在感
motörheadのロゴ、そしてマスコット「Snaggletooth」は、音楽を超えてカルチャーの一部となった。ファッション、アート、映画、そして生き方にまで影響を及ぼすその存在感は、“motörheadは宗教”とまで言われるほど。
名盤紹介
■Ace of Spades
1980年発売の伝説的な代表曲を収録したアルバム。アルバム全編にわたり怒涛のテンポとアグレッシブな演奏が貫かれており、ギター、ベース、ドラムの“トリオ”編成が生む暴力的なまでの迫力が魅力!
バンドの代表作にしてHR/HM、ロックンロールなどの枠を超えたロック史に残る、まごうことなき歴史的名盤!
■No Sleep 'Til Hammersmith
1981年にリリースされたライヴアルバム。Ace of Spadesのリリース直後という最高のタイミングでのライヴが楽しめる。演奏はスタジオ盤より速く、ラフで激烈(Ramonesと同じ現象)。特に「motörhead」と「Bomber」の破壊力は凄まじく、このアルバムでしか味わうことができないクオリティには何百回聴いても打ちのめされます!旧邦題の『極悪ライヴ』の名に恥じない完璧な作品!motörheadの精神を音で表現した爆音の記録がここに!
■Overkill
1979年発売のブレイクのきっかけとなった重要作で、バンドにとって初のチャート入りを果たした作品。タイトル曲「Overkill」では、Philthy Animal Taylorが当時としては珍しいダブルキックドラムを導入し、象徴的なイントロでアルバムの幕を開ける。「Stay Clean」「No Class」など今聞いても古臭さなどは全く感じることはなく、ギリギリではあるが70年代に発売された事実にいつも驚かされ、その後の80年代以降の源流がここから始まると思うと感慨深くなる作品。
■Bomber
『Overkill』でブレイクを果たした直後、わずか数ヶ月のうちに制作・リリースされた前作よりもメロディックな側面が強調されつつも、ヘヴィでラウドなアルバム。事実、渋めな名曲があるため(筆者は大好き)motörheadbangers以外にはどうしても次作の影に隠れがちだが、タイトルナンバー「Bomber」をはじめ「Lawman」「Poison」そして「Stone Dead Forever」が収録されたLemmy流のロックンロール哲学と政治・社会風刺が強く反映された作品!(ちなみに筆者が昔新大久保にレミー追悼ライヴに行った時はほとんどのバンドがmotörheadとBomberを演奏していました。)
まだまだありますmotörhead極悪名盤
CD
LP
motörheadの影響力
motörheadは単なるバンドではない。彼らが残したのは、音楽だけではなく、ファッション、アート、哲学、そして生き様だ。 彼らの存在は、メタルやパンクといったジャンルを越え、あらゆるカルチャーに火をつけた。Joe PetagnoがデザインしたmotörheadのマスコットWar-Pig“Snaggletooth”は、音楽ロゴ史において最も強烈なヴィジュアルのひとつ。Tシャツ、ステッカー、刺繍、壁画…その存在感は、バンドの顔以上の意味を持つ。
Snaggletoothを身に纏う!オススメTシャツをピックアップ!
motörheadの影響を受けし者たち
今回はmotörheadに影響を受けたどころではない、モーターヘッ度高めのバンドを集めました。
■Asomvel
「motörheadの後継者」とも言われるほど強くその影響を色濃く受けたサウンドとヴィジュアルを持っているイギリスのバンド。とにかく音源とレミーの影武者もできそうなビジュアルを確認して欲しいバンドです。
■Warfare
Lemmy自らプロデュースを担当した『Metal Anarchy』というタイトルの時点でクロスオーバーを確信できるイギリスのバンド。激しいパンクスピリットにヘヴィなギターをまぶした荒々しいサウンドが最高です!
■Bewitcher
motörhead直系のロックンロールにVenom譲りのブラックメタル的邪悪さが悪魔合体したような最高な世界観のアメリカのバンド。荒々しくもキャッチーなリフと、地獄の炎のようなボーカルで、古典メタルのスピリットを現代に伝える職人技が光る逸材!
■Whitespade
ワンマン覆面メタルMidnightからさらにmotörhead要素を抽出したような敬愛プロジェクト。ジャケ、ロゴ、サウンドと一聴してmotörheadを想起させるハイクオリティ作品!
その他のモーターヘッ度数高めのオススメバンド
メタルの日著者プロフィール
初めてリアルタイムで発売されたメタリカはセイントアンガーという後追いメタラー。一番好きなメタルはスラッシュメタル。
高校の同級生に借りたMDに入っていたヌンチャク(KCHC)に衝撃を受け、ジャパニーズハードコアを聴き始めるが大学時代の洋服屋の店長の影響でUKハードコアやサイコビリー、ジャパコアなどハード系のパンクに一通りはまる。当時はメロコア/ポップパンクやミクスチャー全盛期だったのに反発し逆張りのような形でラバーソールを脱ぎ捨て、メタルを聴き始めアイアン・メイデン、モトリー・クルーなどのパッチGジャンを作る。
パンク、メタル両サイドから崇められるmotorheadこそが全ての頂点であるとこの頃に確信する。
就職時に中央線沿線に引っ越し、平日も退勤後に時間を惜しまずCDショップを巡り食費を削りながらひたすらCDを買う生活を10年程送る。
常にCDとTシャツが増え続けていくため慢性的に置ける場所を探している。
タグ : ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM) HR/HMの日
掲載: 2025年06月11日 00:00